みなさんこんにちは、ひでえぬです。
前回に引き続き、オプション取引の戦略についてお伝えします。
今回も、オプション取引の戦略についてお伝えします。(多分今回で終わります。)
オプション取引の基本的な内容はこちらで以前紹介しました。
前回は権利行使価格が異なるコールとプットの「買い」同士を組み合わせた場合の損益についてお伝えしました。
ストラングルとストラドルについてはこちらを参考にしてください。
戦略を考えるにあたっての参考例は以下のとおりです。
パターン例
コール
買い
- 権利行使価格1,000円、プレミアム200円
- 権利行使価格1,200円、プレミアム100円
スマホだと字が小さくて見えないかも・・・。
着色してあるのはオプションの権利を放棄する場合です。
※コールの場合、権利行使価格が低い方が安く買えるため、オプション料を高く設定してあります。
※表の中に、コール買い(1,000円:200円)とありますが、これは「権利行使価格が1,000円で、プレミアムが200円」という意味です。
売り
- 権利行使価格1,000円、プレミアム200円
- 権利行使価格1,200円、プレミアム100円
着色してあるのはオプションの権利を放棄する場合です。
※コールの場合、権利行使価格が低い方が安く買えるため、プレミアムを高く設定してあります。
プット
買い
- 権利行使価格1,000円、プレミアム100円
- 権利行使価格1,200円、プレミアム200円
※プットの場合、権利行使価格が高い方が高く売れるため、プレミアムを高く設定してあります。
売り
- 権利行使価格1,000円、プレミアム100円
- 権利行使価格1,200円、プレミアム200円
※プットの場合、権利行使価格が高い方が高く売れるため、プレミアムを高く設定してあります。
4 コール同士、プット同士を組み合わせた場合
⑤ a.コールの買い(低)+b.コールの売り(高)の場合
a.コールの買い(低)
b.コールの売り(高)
これを合成すると、以下のようになります。
この組み合わせによる戦略を「バーティカル・スプレッド・ブル」と言います。「バーティカル(vertical)」は「垂直の、縦方向の」という意味で、「スプレッド(spread)」は「広がり」という意味の単語です、つまり直訳すると「縦方向の広がり」ということで、このグラフでいう縦方向は市場価格なので、市場の価格が動きそうだということを指すと考えられます。
「ブル」というのはもともとは「牡牛」のことですが、投資や資産運用の世界では「先行き値段が上がること」を意味します。対義語は「ベア(熊)」です。
グラフと表からこの組み合わせの特徴を見てみましょう。
- 市場価格が下がると損益が発生し、上がると利益が発生します。
- 最大損失も最大利益も一定額となります。
- 市場価格が暴落しても最大損失は一定ですが、その代わり暴騰しても最大利益は一定で、値段ほどは儲かりません。そこでこの戦略は「将来的に値上がりが予想されるが、どれくらい上がるかわからない」か、「それほど上がらない」というときに効果があります。
⑤' a.プットの買い(低)+b.プットの売り(高)の場合
a.プットの買い(低)
b.プットの売り(高)
合成すると、こうなります。
あれ?さっきとおんなじじゃん。
そうなんです。コールまたはプット同士の組み合わせで、値段が低い方の買いと高い方の売りで組み合わせた場合、どちらも「バーティカル・スプレッド・ブル」となります。
よって、特徴もさっきとおんなじです。
⑥a.コールの買い(高)+b.コールの売り(低)の場合
a.コールの買い(高)
b.コールの売り(低)
これを合成すると、以下のようになります。
さっきと似ていますが、今度はグラフの左側(市場価格が安いとき)の方が利益が出ています。
これを「バーティカル・スプレッド・ベア」と言います。
「ベア」はさっきちょっとだけ触れましたが、「ブル」の対義語で、「先行き値段が下がること」をいいます。
グラフと表からこの組み合わせの特徴を見てみましょう。
- 市場価格が下がると利益が発生し、上がると損失が発生します。
- 最大損失も最大利益も一定額となります。
- 市場価格が暴騰しても最大損失は一定ですが、その代わり暴落しても最大利益は一定で、値段ほどは儲かりません。そこでこの戦略は「将来的に値下がりが予想されるが、どれくらい下がるかわからない」か、「それほど下がらない」というときに効果があります。
⑥'a.プットの買い(高)+b.プットの売り(低)の場合
a.プットの買い(高)
b.プットの売り(低)
これを合成すると、みなさんうすうす気づいているかもと思いますが、以下のようになります。
そうです。さっきとおんなじです。
よって特徴もおんなじです。
まとめ
複数のオプション取引における主な組み合わせを調べてみました。
まとめると以下のとおりとなります。
- 「買い」同士の組み合わせ:ロング・ストラングル ただし同じ権利行使価格の場合はロング・ストラドル
- 「売り」同士の組み合わせ:ショート・ストラングル ただし同じ権利行使価格の場合はショート・ストラドル
- 値段の低いコール(プット)の買いと値段の高いコール(プット)の売り:バーティカル・スプレッド・ブル
- 値段の高いコール(プット)の買いと値段の低いコール(プット)の売り:バーティカル・スプレッド・ベア
「主な」と書きましたが、このほかにもたくさんの組み合わせがあります。
例えば、今回の組み合わせはすべて2つの取引について1対1で組み合わせていますが、この比率を変えることで、全く違ったグラフになります。
また、原資産と組み合わせたり、3つのオプションを組み合わせたりするのもあります。
なかなか奥が深いですね。