みなさんこんにちは、ひでえぬです。
FP試験対策で、不動産運用設計から「不動産の広告表示について」お伝えします。
前回が途中までだったので、その続きから。
CFP資格審査試験の問題では、下のような感じで、不動産の販売広告についての正誤問題が出ることがあります。
「不動産の表示に関する公正競争規約(以下、ここでは『規約』と表記します)」「不動産の表示に関する公正競争規約施行規則(以下、ここでは『施行規則』と表記します)」というものがあります。
2022年9月1日から、改正された「規約」及び「施行規則」が施行されました。今回は、改正点も併せてお伝えします。以下「今回の改正」といったときは2022年9月1日からの改正を指すこととします。
前回は、
- 物件名に公園の名前を入れるための要件は?
- 最寄りの施設までの距離の表示方法
- 「駅から徒歩5分」は何メートル?
についてお伝えしました。
今回はその続きからです。
まずは、下の画像の「エ」についてです。
エ 建築中の物件の写真は?
今回の物件は建築中で、来年(2023年)1月完成予定です。この場合、写真は載せられるのでしょうか。
今回の改正では、この部分も変更されています。
施行規則の第9条第1項第22号によると、
(改正前)
〔写真・絵図〕
(22) 宅地又は建物の写真は、取引するものの写真を用いて表示すること。ただし、取引しようとする建物が建築工事の完了前である等その建物の写真を用いることができない事情がある場合においては、次に掲げるものに限り、他の建物の写真を用いることができる。この場合においては、当該写真が他の建物のものである旨を写真に接する位置に明示すること。
ア 取引しようとする建物と規模、形質及び外観が同一の他の建物の外観写真。この場合において、門塀、植栽、庭等が異なる場合は、その旨を明示すること。
イ 建物の内部写真であって、写真に写される部分の規模、形質等が同一のもの
(改正後)
〔写真・絵図〕
(22) 宅地又は建物の写真又は動画は、取引するものを表示すること。ただし、取引する建物が建築工事の完了前である等その建物の写真又は動画を用いることができない事情がある場合においては、取引する建物を施工する者が過去に施工した建物であり、かつ、次に掲げるものに限り、他の建物の写真又は動画を用いることができる。この場合においては、当該写真又は動画が他の建物である旨及びアに該当する場合は、取引する建物と異なる部位を、写真の場合は写真に接する位置に、動画の場合は画像中に明示すること。
ア 建物の外観は、取引する建物と構造、階数、仕様が同一であって、規模、形状、色等が類似するもの。ただし、当該写真又は動画を大きく掲載するなど、取引する建物であると誤認されるおそれのある表示をしてはならない。
イ 建物の内部は、写される部分の規模、仕様、形状等が同一のもの。
つまり、基本は「現物を表示」なのですが、工事中で現物が完成していないときは、
現物でないこと(他の建物であること)を断ったうえで、規模、形質及び外観などの使用が同じものの資料を使うことが認められているというわけです。(2021.4記載:一部変更しました)
というところの大筋は変わっていませんが、いくつか細かい変更があります。
- 要件を満たす他の物件(以下「他物件」とします)を掲載するとき、写真の他に動画が認められたこと。
- 他物件について、「施工者が過去に施工した建物であること」という条件が加わったこと。
- 他物件について、建築予定の建物と混同しないような表示の義務付け、および誤解を招く表示の禁止。
- 他物件の外観について、「構造、階数、仕様が同一であって、規模、形状、色等が類似するもの。」と要件が厳しくなったこと。
動画が認められたことについては要件の緩和となりますが、これはインターネットのみの広告も認められたことに伴うものですので、全体としてはより厳しくなったととらえることができます。
オ 金額の表示について
最後に、肝心かなめの販売価格ですが、基本的に税込表示となります。
(38) 住宅(マンションにあっては、住戸)の価格については、1戸当たりの価格(敷地の価格(当該敷地が借地であるときは、その借地権の価格)及び建物(電気、上下水道及び都市ガス供給施設のための費用等を含む。)に係る消費税等の額を含む。以下同じ。)を表示すること。
つまり、
土地の価格(非課税)+建物の価格(税抜き)+消費税(建物分)
となります。(この条文は今回の改正では変更されていません。)
なお、マンションの場合の管理費や修繕積立金については、一括して表示するのではなく、ここに表示する必要があるので注意が必要です。
該当部分の条文をご覧ください。
施行規則第9条第1項(抜粋)
(41) 管理費(マンションの事務を処理し、設備その他共用部分の維持及び管理をするために必要とされる費用をいい、共用部分の公租公課等を含み、修繕積立金を含まない。)については、1戸当たりの月額(予定額であるときは、その旨)を表示すること。ただし、住戸により管理費の額が異なる場合において、その全ての住宅の管理費を示すことが困難であるときは、最低額及び最高額のみで表示することができる。
(43) 修繕積立金については、1戸当たりの月額(予定額であるときは、その旨)を表示すること。ただし、住戸により修繕積立金の額が異なる場合において、その全ての住宅の修繕積立金を示すことが困難であるときは、最低額及び最高額のみで表示することができる
この条文については内容は変わっていません。ただ厳密にいうと太字の部分が
すべて→全て
に変更されています。
細かいねー(笑)
カ まとめ-CFP資格審査試験の出題傾向に変更はあるのか?-
さて、不動産の広告表示について、例題をもとに改正内容を概観しました。
今回の改正により、出題傾向に変更はあるでしょうか。
予想してみましょう。
※ひでえぬの独断と偏見によるものですので、当たらなくても怒らないでくださいね。あくまで自己責任でお願いします。
その前に、今回の改正内容が出題されるとすればいつからなのか。2022年9月の改正ですので、11月に行われる2022年度第2回には適用されません。(基準日が2022年4月1日のため。)2023年度第1回試験(6月)は基準日が2023年1月1日となりますので、ここから適用されます。
まず、今回改正がなかった箇所については重要度は下がると思いますが、選択肢の中に出てこない保証はありませんし、ひっかけで出す可能性もあるので、一応基本的なところは抑えておいて損はないと思います。
改正点のうち、最寄りの施設(駅以外)については、道路距離の他、徒歩所要時間を明示することも可能となりました。過去の経緯を知っているものからすると新鮮に映りますが、一般の人から見ればある意味普通なので、ここは出なくなる気がします。試験に出すとすれば、改正して最初の回、つまり2023年度の第1回くらいでしょう。
むしろ今回取り上げた中で出そうなのは、建築中の物件の写真掲載についてですね。ここはいろいろ改正されているので、比較的出題しやすいところだと思います。
ただ、今回の改正は本当に多岐にわたっているので、このほかにもたくさんあります。そこから出題される可能性もある、っていうかその方が可能性が高いかもしれません。機会があれば取り上げてみたいと思います。
今回の改正内容については下記のリンクを参照しました。
では、また。