みなさんこんにちは、ひでえぬです。
CFP資格審査試験対策として、精選過去問題集をひたすら解いていますが、一番最後には「金融資産運用にかかる制度や法規等」と題してまとめられています。
内容は多岐にわたっておりますが、主なものは
といったところです。
1と3について、は問題を解く以外に有効な対策はあまりないような気がするのでとりあえずおいといて、今回は4について、過去問が複数掲載されていたのでちょっと気になりました。
そこで、今回は「自社株買い」について考えてみたいと思います。
というのは、さっき書いたように「出題頻度が思ったよりも高い」というのもありますが、もう1つは「簿記の知識を生かすことができる」ということに気づいたからです。
自社株買いとは?
「自社株買い」というのは、企業が発行した株式を時価で買い戻すことを指します。
いったん発行したものを、なんでわざわざ買い戻すのかという話もありますが、その話はあとで少し触れたいと思います。
では、自社株買いを行った時の仕訳を書いてみましょう。
借 方 | 貸 方
自己株式 | 現 金
簿記3級では「自己株式」という勘定科目は出てこないので、こう言い換えてみましょう。
借 方 | 貸 方
資本金 | 現 金
ちなみに実務では現金ではなくおそらく普通預金か当座預金かと思いますが、シンプルにするためにあえて現金にします。
いずれにしても、この仕訳の意味するところは
借方:純資産の減少
貸方:資産の減少
ということになります。
ここでわかるのは、
自社株買い=純資産(自己資本)の減少
ということです。
これがすべての出発点になります。
ここを理解しないで、「お金払って買い戻すんだから、純利益が減るんじゃないの?」とかアホなこと言っていると間違えます。(以前の私がそうでした)😅
で、自社株買いにより、自己資本が減るとどうなるでしょうか。
ここで、下の3つの式を思い出しておいてください。
自社株買いするとどうなるか?
①から見ていきましょう。
①により、自己資本が減ると分母が小さくなりますので、ROEは増えます。ROEは自己資本のうちどの程度の割合で利益につながったかを表すのものなので、大きいほど収益性がよいということになります。
また、②により、EPSについても分母が小さくなるので、EPSも数値が上がります。
一方、③によりEPSが上がると、分母が大きくなるのでPERが下がります。
つまり、
- ①により収益性が高いという評価を受ける
- ②により1株あたりの利益も高くなる
- ③により株価が割安であるという評価を受ける
これらの要因はすべて株高の要因となります。
自社株買いには、こうしたメリットがあるんですね。
さて、CFP資格審査試験対策としてはここからが(ここからも)問題です。
自社株した株式はその後結局世に出ないことも多いのですが、場合によっては再び市場に出ることもあります。その違いを見てみましょう。
自社株買いを手放した場合の変化
ア 自社株買いした株式を消却する場合
まずはEPSから見てみましょう。
この場合、上の②の式をみると、すでに自社株買いした時点で発行済株式数から除かれているので、発行済み株式数は変わりません。よってEPSも変わりません。
ですので、PBRが同じであればROEも変わりません。
イ 自社株買いした株式を市場で売却した場合
この場合はさっきと異なり、自社株買いした株式が市場に戻ったことになるので、発行済み株式数は増えます。
よって②により、EPSは小さくなります。
EPSが小さくなるので、PERの数値は大きくなります。
④により、PERが大きくなるので、ROEは小さくなります。
よって、これらすべて株価の下落要因となります。
CFP資格審査試験の過去問では、自社株買いにより、これらの数値が大きくなるか小さくなるか(あるいは変わらないか)がきかれるので、整理しておいて損はないと思います。
まとめ
- 自社株買いは純資産のマイナスである
- 自社株買いは株価の高騰要因である
- 自社株を消却してもROEやEPSは変わらない
- 自社株買いを売却するとEPSは減り、株価の下落要因となる