みなさんこんにちは、ひでえぬです。
今日は「スポットレートとフォワードレート」のおはなしです。
スポットレートについては以前2回に分けでお送りしたので、今回はフォワードレートのおはなしが中心になります。
その前に、「純粋期待仮説」についてご説明します。
純粋期待仮説(Pure expectations hypothesis)とは、将来の金利に関する期待によって、金利の期間構造が決定するという仮説である。
うーん、これだけではわかりにくいので、数字を使って説明します。
100万円を今持っていて、これを定期預金(貯金ではなく預金・・・って今回はどっちでもいいです)で運用するとします。
1年物の定期が年利1%で、2年物が3%だったとしましょう。
さて、1年ごとに1年定期に預けるのと、2年定期に預けっぱなしにしておくのとでは、どちらが利益(というか利息)が出るでしょう。
(税金や手数料は考慮しないこととします)
ははあー。なるほど。
2年目の金利が予想できないからわからない。
まあ、ある意味正解かもしれませんね。
これが、
「両者同じ利益(利息)となる」
という考え方が「純粋期待仮説」です。
いいかえると、「両者がイコールになるように、長期金利が決められていく」と考えるのが純粋期待仮説とも言えます。
先ほどの例を使って数字で書いてみましょう。
2年目の1年定期の金利をxとし、X=1+xとすると、
2年定期での元利合計:1,000,000円×(1+0.03)2=1,060,900円
1年定期に毎年預けた場合の元利合計:1,000,000円×(1+0.01)×X=1,010,000X(円)
これが同じということなので、
1,010,000X=1,060,900 となり、 X=1.050
X=1+xなので
x=0.05 つまり5%となります。
ここで、スポットレートとフォワードレートに戻りますが、
スポットレートというのは、現時点での割引債の複利利回りとも言えます。
以前スポットレートの説明で、「将来もらえるキャッシュフローを現在価値に割り引いたもの」と説明しましたが、これは具体的に言うと
「2年後に100円になってかえってくる金融商品(複利利回り3%)の現在価格」
のように置き換えることもできます。
つまり、最初の例では定期預金で説明しましたが、これは
残存期間1年のスポットレートが年利1%で、残存期間2年が3%だったとしましょう。
1年ごとに残存期間1年の割引債で運用する場合と、残存期間2年の割引債を買って償還まで保有していた場合に同じ利益が出ると仮定した場合、2年目の割引債は年利何%となるでしょうか。
(税金や手数料は考慮しないこととします)
という問題だとしても、答えは全く一緒になります。
計算式ですが、先ほどは元本も含めて計算しましたが、式を見比べるとわかりますが、元本を省略して(両辺を元本で割って)利率だけでも計算できます。
(1+0.03)2=(1+0.01)×X X=1.050 (以下略)
最後に、CFP資格審査試験向けに、もう少しひねった問題を見てみましょう。
(例題)
残存期間2年のスポットレートが5%で、同じく3年の場合7%の時、今から2年経過後の残存期間1年のフォワードレートを求めなさい。
(計算過程及び答えは小数第5位を四捨五入とします)
文章が違うので戸惑うかもしれませんがやることはたいして変わりません。
求めるフォワードレートをf、1+f=Fとすると、
(1+0.05)×(1+0.05)×F=(1+0.07)3
1.1025F=1.2250 F=1.1112 f=0.1112 でフォワードレートは11.12%となります。
このあたりはわかってしまうと簡単な計算問題なのですが、文章から理解するのが最初は結構難しかったりします。おそらく私もここまで理解していれば前回のCFP資格審査試験で受かっていたんじゃないかと、今考えてみるとそう思います。なので数字や数式の成り立ちを学ぶのは大事なことかもしれませんね。