みなさんこんにちは、ひでえぬです。
それでは、理論上の先物予約レートについて考えてみましょう。
(例題)
ひでえぬさんが、以下の条件で、米ドルに対して為替予約を行ったときの、理論上の先物予約レートはいくらになるか。
(為替予約の内容)
予約期間:1年(満期時の3か月前に為替予約を行った
スポットレート:1ドル=110円
米ドル6か月物 年1%
円6か月物 年0.2%
(注意)
- 為替予約にかかる手数料等は考慮しない。
- 計算過程では小数点以下第5位を四捨五入し、回答については小数点以下第3位を四捨五入すること。
(解説)
ここでいう「スポットレート」というのは、「満期時の1年前の時点での為替レート」という意味です。
「スポットレート」そのものの意味は「ある時点でのレート」ということなので、その意味で使っています。なので、債券などで出てきたスポットレートとはちょっと見た目が違うかもしれませんが、そこは気にしないようにしましょう。
で、その1年前のレート(スポットレート)から、それぞれの通貨に金利分を反映させたのちに、あらためてレートを算出します。
まず米ドルですが、1年後の1ドルは1年前から見ると
1×(1+0.01)=1.01ドル
となります。
次に1年後の110円は
1×(1+0.002)×110=110.22円
と計算できます。
よって、満期時の1年前の1ドル=110円が、1年後には
1.01ドル=110.22円
に理論上変化していることとなります。
これを書き直すと
1ドル=110.22円/1.01=109.13円
となり、1年後のほうが円高だということが分かります。
これはなぜかというと、この場合、ドルのほうが金利が高いため、相対的に現在価値が低くなってしまうからです。
(おまけ:直物レートと先物レート)
問題文でいうスポットレートのことを「直物レート」とも言います。
直物レートは、インターバンク取引(銀行間の取引)で使用されるレートで、通常は2営業日後(翌々営業日)に受け渡しが行われます。
これに対し、もうちょっと先の「将来の特定の期日」に、「事前に合意した条件」で、受け渡しが行われるのが先物レートで、予約レートとも言います。
例題の場合で整理すると、こうなります。
また、今回の問題でいうと、
となりますが、上で見たように、先物レートは、直物レートに対して円高ドル安となります。
このとき、ドルの予約レート<ドルの直物レートとなりますが、この状態をドルから円に対しディスカウントといい、逆の場合をプレミアムといいます。
つまり、円金利<ドル金利ならば、ドル→円はディスカウント、円金利>ドル金利ならば、ドル→円はプレミアムということになります。
ちょっとややこしいですね。
次回はもうちょっと複雑な問題を考えてみたいと思います。
では、また。