みなさんこんにちは、ひでえぬです。
行政書士の試験勉強をしていると、民法とかで法律用語がたくさん出てきます。
たいていの言葉は字を見ればわかる場合もありますし、わからない場合も調べればどうにかなります。
中には、覚えにくいものもあったり、世間一般で使われている意味とちょっと違うものもあったりします。
今回は、その「世間一般で使われている意味とちょっと違うもの」について考えてみたいと思います。
それは・・・。
善意と悪意
です。
まずは、世間一般ではどう使われているか見てみましょう。
ぜん‐い【善意】
1 よい心。
2 他人のためを思う親切心。好意。「善意の人々」⇔悪意。
3 好意的に相手の言動などをとらえること。よい意味。「善意に解釈する」⇔悪意。
実はこの後に続きがあるんですが、それは後ほど紹介します。
同様に悪意は、
1 他人を憎み、害を加えようとする気持ち。わるぎ。「悪意を抱く」「悪意に満ちた眼差まなざし」⇔善意。
2 よくない意味。「発言を悪意に取る」⇔善意。
3 法律上の効力に影響を及ぼす事情を知っていること。道徳的な意味での善悪とは異なる。⇔善意。
[類語]悪気・意趣・悪感情・悪心・邪気・邪心・出来心
これも続きはあるんですが、ここではカットしますね。
こんな感じで、心持ちや意味などが「善」か「悪」かという意味でつかわれることが多いかと思いますが、民法では「善意」とは「知っていること」をいい、「悪意」とは「知らないこと」を言います。
道徳的に良いか悪いかは一切関係なくて、単に「知っている」か「知らない」かというj事実についてだけに注目する言葉なんですね。
この言葉自体は、高校を卒業して、大学の一般教養で民法をとった時も、最初の方の授業で聴いたかと思いますが、きちんと意味を理解したのは、実は行政書士の勉強を始めてからなんです。
では、例を挙げてみましょう。
例えば、AさんとBさんがいて、Aさんの持っている甲という不動産を、「買いたい」と申し出たBさんに売ったとします。
ところが実はAさんには売る気が全くなかった場合どうなるでしょうか。
「Aさん何やってんの?」とツッコミたくなりますが、民法の教科書には普通に出てきます。
ここで、「善意」か「悪意」かで、結論がどうなるかが変わってきます。
「善意」、つまりAさんに売る気がなかったことについて知らなかったという場合は
「買いたい」をいったBさんが保護されるため、Aさんは「いやあ、じつは売る気がなかったんだよ」と言っても契約を取り消すことができません。「売りたくない」Aさんよりも「買いたい」というBさんの権利の方が優先されるべきだからです。
もっとも、Bさんは、Aさんに売る気がなかったことについて知らなければなんでもいいというわけではなく、知らなかったことについて「過失がなかった」場合のみに限られます。これを「善意無過失」と言いますが、「善意無過失」の場合のみBさんの権利が保護されます。
知らなかったことについて過失があったことを「善意有過失」と言いますが、この場合は「悪意」(Aさんに売る気がないことを知っていた)ときと同様の扱いとなります。
つまり、Aさんに売る気がないことをBさんが知っていたのであれば、Bさんの権利を保護する必要はないので、Aさんが契約を取り消してもよいということになります。
「善意」と「悪意」について、道徳的にとらえちゃうと、「悪意」の方は何とかなりますが、「善意」の方がちょっと微妙な感じになるときがあります。(それでもある程度は理解できると思いますが)
今回は「善意」と「悪意」についてお伝えしました。
そうそう、最後に、お伝えしてなかった辞書の意味についてご紹介しますね。
(善意)
4 法律で、ある事情を知らないですること。私法上、原則として善意の行為は保護され、責任は軽減される。⇔悪意。
[類語]好意・厚意・老婆心・好感
出典 小学館デジタル大辞泉
(悪意)
3 法律上の効力に影響を及ぼす事情を知っていること。道徳的な意味での善悪とは異なる。⇔善意。
次回のネタは思いついたんですが、それ以降のネタがあるかどうか不安です。
では、また。