みなさんこんにちは、ひでえぬです。
今回は、前回の問題でお伝え出来なかった「トータルリターン」についてお伝えします。
トータルリターンとは・・・
「トータル」の「リターン」です。
説明になってない・・・。
つまりですね、
ここでいう「トータル」というのは、譲渡損益(キャピタルゲイン)のほかに、分配金や利子などのインカムゲインも含まれます。また、売買にかかる手数料なども考慮に入れられます。
要するに、資産の保有にかかるすべての収支を明らかにしようとする数字が「トータルリターン」と言えるかもしれませんね。
トータルリターンは以下の式により算出されます。
評価金額+累計受取分配金額+累計売付金額ー累計買付金額
それぞれの用語については、問題の解説と並行して行いたいと思います。
前回の問題
前回の問題はこちらです。
(問題)
ひでえぬさんは、以下の条件で投資信託HNを購入し、収益分配金を受け取った。このとき、
- 2021年9月30日時点での個別元本
- 2021年9月30日を基準日として計算したトータルリターンの金額
を求めなさい。
なお、復興特別所得税は考慮せず、収益分売金の額は税引き後の額で計算すること。また、購入に際し手数料は考慮しないものとする。
(スマホの方、やっぱり見にくくてごめんなさい)
(解説)
トータルリターン=評価金額+累計受取分配金額+累計売付金額ー累計買付金額
では、1つずつ見てみましょう。
評価金額
投資信託の場合、評価金額というのは、
評価時点での基準価額×保有口数
となります。
この問題では、2021年9月30日時点で計算しますので、
となります。
累計受取分配金額
読んで字のごとくですが、購入後評価時点(2021年9月30日)までのすべての分配金額を合計します。
では、決算日ごとに見てみましょう。
2018.9.30
前回も同じ図を出しましたが、オレンジの部分だけ説明に使っていました。今回は、右上にある青と緑の部分が重要になります。
決算日直前の個別元本(今回は購入時)が10,300円、分配落ち後の基準価額が10,000円なので、差額の300円は元本払戻金となります。
分配金の総額は500円なので、残りの200円が普通分配金となります。
問題はこの後です。
- 元本払戻金は非課税
- 普通分配金は分離課税(所得税15%、住民税5%の合計20%)
なので、元本払戻金はそのまま加算しますが、普通分配金は税金分20%を引いた、80%分を加算します。
よって計算式は、
となります。
2019.9.30
2019年2月1日に追加購入したので、決算日直前の個別元本は10,050円となっています。
分配落ち後の基準価額は9,900円なので、差額の150円は元本払戻金となります。
分配金の総額は300円なので、残りの150円が普通分配金となります。
計算式は先ほどと同様に、
となります。
追加購入しているので、保有口数は200万口となることに注意します。
2020.9.30
今回は追加購入はないので、個別元本は9,900円のまま決算日を迎えました。
また、分配落ち後の基準価額は10,000円なので、決算後の個別元本も9,900円のままです。
したがって、今回の分配金100円は、すべて普通分配金となります。
よって計算式は、
となります。
2021,9,30
最後の分配金ですが、2回目の追加購入をしているので保有口数は300万口になっています。
追加購入後の個別元本は10,000円ですが、
分配落ち後の基準価額は10,200円なので、決算後の個別元本も10,000円のままです。
したがって、今回の分配金300円は、すべて普通分配金となります。
よって計算式は、
となります。
累計受取分配金額は
46,000+54,000+16,000+72,000=188,000円
となります。
累計売付金額
今回の設問では一部解約を行っていないので、累計売付金額は0です。
トータルリターンの問題は過去問にはいくつかありますが、ここは0の場合が多いです。
累計買付金額
こちらは、実際に買った金額を合計します。ですから、
購入時の基準価額×購入口数 の合計
で求めます。
式は、
こたえ
したがって、トータルリターンは
3,060,000+188,000+0-3,060,000=188,000円
です。
まとめ
トータルリターンの問題では、これまでのところ計算式が出ているので一見簡単に見えますが、評価金額、累計買付金額、累計売付金額がそれぞれ正確に計算しないと正解に到達しません。
また、もしかすると今後、計算式が問題で提示されなくなるかもしれません。まあ、トータルリターンの考え方自体は単純なので、式がなくても解けるとは思いますが、それぞれの要素をきちんと把握することが大事ですね。