みなさんこんにちは、ひでえぬです。
貸付金と借入金について復習をしていました。
その時にふと思ったのですが・・・。
貸付金は資産ですので、通常(増加するとき)借方に記入します。一方、借入金は負債ですので、通常貸方に記入します。
・・・とまあ簿記をある程度勉強すれば当たり前のことなのですが、ここでひとつの疑問がわいてきました。
なぜ、貸付金が「借方」なのか?
借入金が「貸方」なのか?
この疑問を解決するために、「貸方」「借方」の語源を調べてみましょう。
「借方」というのは英語でいうと「debit」を訳したもので、直訳すると「負債」となります。
「借方」という単語から受ける感覚は人それぞれだと思いますが、「私」から見た視点で考えると「私が(誰かに)借りている」という意味にとることができます。そうなると、貸付金が「借方」だとすると、「逆じゃん!」っていうことになります。
実は、「debit」を「借方」と訳したのは福沢諭吉だと言われています。
(ちなみに、このdebitは今話題のデビットカードのdebitです。)
彼の書いた(翻訳した)「帳合之法」には、
借 山城屋 貸
1月2日 米10俵 10円 1月15日 大巾羅紗1丈 10円
3月1日 麦15俵 12円50銭 (空欄) 現金 5円
(中略)
書付ヲ上下二段(※)ニ分チ、上ノ段ニハ山城屋ヨリ我方ヘ対シテ同人ノ借ノ高ヲ記シ、下ノ段ニハ我方ヨリ山城屋ヘ対シテ我方ノ借ヲ記シタルガ故ニ・・・
※原文は縦書きです。よって「上ノ段」を左、「下ノ段」を右と読み替えてもらえばわかると思います。
要は「私が」借りているではなく「私に」借りている分を書くのが「借方」という説明になっています。
「私に借りている」=「私が貸している」、つまり貸付金ということになりますね。
このように、言葉の成り立ちを考えれば理解できないこともないのですが、それよりもわかりやすい覚え方があります。
聞いたこともある方も多いと思いますが、
かりかた(借方) =右から左に払うから左側
かしかた(貸方) =左から右にはらうから右側
と覚えてしまって、そのあとに
左側(借方)=資産・費用
右側(貸方)=負債・資本・収益
と覚えた方が実用的な気がします。
(実際こうやって覚えました。)
結局のところ、清算表を記入するときに、試算表欄と修正欄の合計を損益計算書に書くのか、貸借対象要覧に書くのかを判断するのには、どの勘定が資産なのか、負債なのか、費用なのか、を理解していないと、計算はできても精算表を完成できません。
精算表が書けないと損益計算書も貸借対象表も作れないということになります。
普通は言葉の成り立ちと関連付けて覚えた方が覚えやすいので、人によってはその方がいいという場合はあるかと思います。ただこの場合に限っていえば言葉の成り立ちにこだわりすぎるとかえって混乱してしまうので、ここはあえて機械的に覚えてしまい、あとで各勘定の振分を正しく覚えた方がいいと思います。