カラー図解でわかる金融工学「超」入門 ー投資のプロがやさしく教えるデリバティブーリスク管理の考え方
著者名 田渕 真也
イラスト にしかわ たく
出版社 サイエンス・アイ新書
発行日 2015年1月16日
タイトルの通り金融工学の入門書です。全編カラーで、図もふんだんに使われており、全般的にわかりやすい内容となっています。
先物取引、金利スワップや通貨スワップ、信用取引、オプション取引などの様々なデリバティブ取引の説明が前半に書かれております。説明の内容も、知っている人には物足りないと思いますが、初心者には「これ以上難しくしたら拒絶反応が出る人がいるかも」というあたりでうまくとめています。
さらにはスポットレートやVaRなどについての説明もあり、オプションプレミアムの計算方法も載っていたりと、盛りだくさんの内容です。
FPの試験対策といった側面から見てみますと、金利スワップについて、「こういう取引がある」というだけではなく、「なぜこのような取引が成立するのか」ということまで詳しく掘り下げて説明してくれているので、理解を助けてくれると思います。(答えは「金融機関と企業双方にメリットがあるから」ですが、詳しく知りたい方は読んでみてください)
本書の最終目的としてはタイトルを見る限り「リスク管理の方法を学ぶ」といったところかと思いますが、結論に書いてあるように、「『リスク管理には絶対はない』ことを知ることがリスク管理の第一歩」という著者のメッセージなのかなと思います。
「それじゃ意味ないじゃん」ということではなく、想定可能(想定範囲内の)なリスクと想定できない(想定範囲内に置かない)リスクを明確に区別し、両方を踏まえた上での投資戦略が重要であるということのような気がします。
他にも、スポットレートの計算方法については図を用いて詳細に書かれており、単に計算式を覚えるだけでば身につかない知識も書かれています。試験対策としても、またFPとして活動する知識を準備しておく意味でも読んでおいて損はないと思います。
kindle版はこちら。