みなさんこんにちは、ひでえぬです。
前回の「果実」以来、はたして新ネタが誕生するのかどうかが危ぶまれましたが、
まじめに勉強するといいことがあるもんで、探すとネタはそれなりにあります。
というわけで、第3回の今回は、
「公序良俗」
についてお伝えします。
ところで皆さんは、この言葉が略称だったということは知っていますか?
実は私、最近になって知りました。
「公の秩序又は善良の風俗」
のを略して「公序良俗」というんだそうです。
民法第90条によると、
(公序良俗)第九十条 公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする。
とありまして、これが今回のネタ元となっています。
では、この言葉はどういう意味なのでしょうか。
武川(2022)では、3つの概念に分けて説明しています。
- 正義の観念に反する行為
- 人倫に反する行為
- 基本的人権を害する行為
1の「正義の観念に反する行為」ですが、一番わかりやすいのは「殺人に関する契約」ですかね。
ゴルゴ13は、今まで数えきれないほどの殺人の契約をしていると思いますが、少なくても日本国内に関する限り、そのような契約は「犯罪の実現を内容とする行為」として、公序良俗に反するため無効です。
もっとも、彼は法律違反だろうが何だろうが任務を遂行すると思いますけどね。
他には麻薬の売買や談合などによる競争入札の妨害などもこのカテゴリーに該当します。
2の「人倫に反する行為」というのは、不倫関係の維持を目的とする対価の給付を目的とする契約などがあります。判例では、「妾(時代を感じますね)上告人との間に原判決判示のような不倫の関係を継続する目的で」(最大判昭45.10.21民集第24巻11号1560頁)不動産を贈与した後に仲が悪くなり、与えた不動産の所有権について争いがあったものがあります。
っていうか・・・痴話げんかに巻き込まれた裁判所がかわいそう・・・。
3の「基本的人権を害する行為」には、男女別に定年年齢を定めた就業規則について、民法90条に違反するから無効とした判例があります。(最判昭56.3.24民集第35巻2号300頁)
というのが法律用語としての「公序良俗」なんですが、巷ではちょっと違った意味で使われているみたいです。
「善良な風俗」という言葉の響きから、「風紀紊乱」の意味で誤用される場合も多い。例えばカラオケボックスの個室内に、「公序良俗に反する使用をしないでください」などと書かれていたりする。これは「個室内で風紀を乱す行為をしないでください」という意味で「公序良俗」を使用しているとみられるが、本来は誤った使い方である。(Wikipediaより。アンダーラインと太字はひでえぬが付けました。)
ちなみに、「風紀紊乱」は「ふうきびんらん」と読むそうです。(初めて見ましたこの言葉)
辞書を引けば意味は書いてありますが、ちょっと恥ずかしいのと、こちらの方のコメントがわかりやすかったので載せときます。
みんな誤解してるのですが「公序良俗(に反する)」ってえっちなこと(風紀紊乱)ではなく「法律や基本的人権に反すること」です。 https://t.co/HDL3l1EIHK
— あしやまひろこ (@hiroko_TB) 2023年12月3日
こういった使い方は一般庶民だけかと思ったのですが、郵便局HPのこの表現は、もしかしたら「風紀紊乱」の意味で使っているのかも・・・。
公序良俗に反する刊行物。わいせつ又は不道徳な物品、特にポルノ物品(このような性質を有するすべての種類のフィルム、書籍、冊子、絵画、デッサン、彫板及び複写物を含む。)
まあ仮にそうだとして、「誤用」とまで言っちゃっていいのかとは思いますが、少なくても法律用語では、「公序良俗」は「風紀紊乱」よりは広い意味で使っているのではないかと思います。
というわけで、今回は、「公序良俗」についてお伝えしました。
では、また。