みなさんこんにちは、ひでえぬです。
年末調整の時期ですね。
Yahoo!のニュースを見ていたら、こんなものがありました。
要するに、「住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)」について、昨今の低金利のため、実際に還付される税金が、住宅ローンの利子額を上回っているのは問題であるとして、還付額(原則融資残高の1%、上限40万円/年を還付)の見直しを検討しているというものです。
なるほど。単純に考えると、1%以下で借りたらそうなるな。
では、実際にシミュレーションしてみましょう。
その前に、こちらのページで、現在の住宅ローンの金利を見てみます。
年利0.5%前後が多いので、0.5%で計算してみます。
では、以下の条件で、1年目と2年目の状況を見てみましょう。
借入額:3,000万円
償還年数:35年
金利:0.5%(変動)※ただし、便宜上2年間は金利が変動しないものとして計算します
なるほど。
確かに、年間に支払う利息の2倍近くの額の税金が還付されることになりますね。
ただ、仮にそうだとして、いったいどこが問題なんだと思う方もいらっしゃるでしょうから、いろいろ議論を呼ぶことになるかと思います。
この間の「金融所得課税」の強化の件みたいに、あとからひっこめることになるのでしょうか・・・。
ところで、この制度を利用して税金の還付を受けられるのは良いことですが、注意すべき点があります。
それは、以前「年末調整小ばなし」でお伝えしましたが、
払った税金以上は戻ってこない
ということです。
次の例で検証してみましょう。
年収(給与収入)600万円
社会保険料控除 90万円(給与収入の15%とします。)
配偶者控除 38万円
基礎控除 48万円
※このほかに所得や控除はないものとします。
この場合の所得税の額を求めてみましょう。
まず、給与所得を求めます。
給与所得=給与収入-給与所得控除です。
給与所得は次の表のとおり求めます。
(国税庁タックスアンサーより)
よって、
600万円-(600万円×0.2+44万円)=436万円
総所得金額は、
436万円-(90万+48万+38万)=260万円
所得税の税額は、総所得金額に基づいて次の表により求めます。
(国税庁タックスアンサーより)
よって、
250万円×0.1-97,500円=162,500円
年収600万円と言いますと、高額所得者ではないですが、そんなに少ない額でもないと思います。
もしもこの方が、最初に載せた住宅ローンを借りて住宅ローン控除を受けたとしても、所得税は162,500円しか還付されません。
ただし、このように所得税で控除しきれない場合は、翌年の住民税で控除することができます。
上限は、課税総所得金額の7%、または、136,500円です。
今回の場合、260万円×7%=182,000円>136,500円なので、136,500円が上限となります。
控除しきれなかった金額は、
292,136-162,500=129,636円
ですので、こちらが翌年の住民税から控除されます。
では、年収500万円ではどうでしょうか。
次の例で検証してみましょう。
年収(給与収入)500万円
社会保険料控除 75万円(給与収入の15%とします。)
配偶者控除 38万円
基礎控除 48万円
※このほかに所得や控除はないものとします。
この場合の所得税の額を求めてみましょう。
まず、給与所得を求めます。
給与所得=給与収入-給与所得控除です。
給与所得は次の表のとおり求めます。
(国税庁タックスアンサーより)
よって、
500万円-(500万円×0.2+44万円)=356万円
総所得金額は、
356万円-(75万+48万+38万)=195万円
所得税の税額は、総所得金額に基づいて次の表により求めます。
(国税庁タックスアンサーより)
よって、
195万円×0.1-97,500円=97,500円
年収500万円の場合、住宅ローン控除の所得税分は所得税は97,500円しか還付されません。
先ほどと同様に、所得税で控除しきれない場合は、翌年の住民税で控除することができますが、上限は、総所得金額の7%、または、136,500円です。
今回の場合、195万円×7%=136,500円なので、136,500円が上限となります。
控除しきれなかった金額は、
292,136-97,500=194,636円>136,500円
ですので、こちらが翌年の住民税から136,500円だけ控除され、差額の58,136円は控除することができません。
この例からわかることは、
住宅ローン控除の額に対して所得税額が少なすぎると、本来還付されるはずの金額が還付されない
ということです。
こうなると、小ばなしどころではありませんね。
こういったケースも考えられるので、住宅ローンを借りる時は、注意しましょう。
同じようなケースはふるさと納税でもあります。
いずれお伝えできればとも思いますが、とりあえず今回はここまでにします。
では、また。