めざせ行政書士&CFP(R)!放送大学生ひでえぬのブログ

CFP(R)からのFP1級を取得後、行政書士試験に挑戦中。ひでえぬのブログです。その時の勉強法などを載せてます。2021年4月から放送大学で心理学を勉強しています。

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ひでえぬのファイナンス入門⑯ またまた年末調整と住宅ローン控除について

みなさんこんにちは、ひでえぬです。

 

年末調整の時期ですね。

 

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Yahoo!のニュースを見ていたら、こんなものがありました。

 

news.yahoo.co.jp

 

要するに、「住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)」について、昨今の低金利のため、実際に還付される税金が、住宅ローンの利子額を上回っているのは問題であるとして、還付額(原則融資残高の1%、上限40万円/年を還付)の見直しを検討しているというものです。

 

なるほど。単純に考えると、1%以下で借りたらそうなるな。

 

では、実際にシミュレーションしてみましょう。


その前に、こちらのページで、現在の住宅ローンの金利を見てみます。

 

zuu.co.jp


年利0.5%前後が多いので、0.5%で計算してみます。

では、以下の条件で、1年目と2年目の状況を見てみましょう。

 

借入額:3,000万円
償還年数:35年
金利:0.5%(変動)

※ただし、便宜上2年間は金利が変動しないものとして計算します

 

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なるほど。

確かに、年間に支払う利息の2倍近くの額の税金が還付されることになりますね。

 

ただ、仮にそうだとして、いったいどこが問題なんだと思う方もいらっしゃるでしょうから、いろいろ議論を呼ぶことになるかと思います。

 

この間の「金融所得課税」の強化の件みたいに、あとからひっこめることになるのでしょうか・・・。

 

www.jiji.com

 

ところで、この制度を利用して税金の還付を受けられるのは良いことですが、注意すべき点があります。


それは、以前「年末調整小ばなし」でお伝えしましたが、

 

払った税金以上は戻ってこない

 

ということです。

 

 

hide-n64.hatenablog.jp

 

 

次の例で検証してみましょう。

 

年収(給与収入)600万円
社会保険料控除 90万円(給与収入の15%とします。)
配偶者控除 38万円
基礎控除  48万円
※このほかに所得や控除はないものとします。

 

この場合の所得税の額を求めてみましょう。

 

まず、給与所得を求めます。


給与所得=給与収入-給与所得控除です。

 

給与所得は次の表のとおり求めます。

 

f:id:hide-n64:20211118211611p:plain

国税庁タックスアンサーより)

 

よって、


600万円-(600万円×0.2+44万円)=436万円

 

総所得金額は、


436万円-(90万+48万+38万)=260万円

 

所得税の税額は、総所得金額に基づいて次の表により求めます。

 

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国税庁タックスアンサーより)

 

よって、

 

250万円×0.1-97,500円=162,500円

 

年収600万円と言いますと、高額所得者ではないですが、そんなに少ない額でもないと思います。

 

もしもこの方が、最初に載せた住宅ローンを借りて住宅ローン控除を受けたとしても、所得税は162,500円しか還付されません。

 

ただし、このように所得税で控除しきれない場合は、翌年の住民税で控除することができます。


上限は、課税総所得金額の7%、または、136,500円です。

 

今回の場合、260万円×7%=182,000円>136,500円なので、136,500円が上限となります。

 

控除しきれなかった金額は、


292,136-162,500=129,636円


ですので、こちらが翌年の住民税から控除されます。

 

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では、年収500万円ではどうでしょうか。

次の例で検証してみましょう。

 

年収(給与収入)500万円
社会保険料控除 75万円(給与収入の15%とします。)
配偶者控除 38万円
基礎控除  48万円
※このほかに所得や控除はないものとします。

 

この場合の所得税の額を求めてみましょう。

 

まず、給与所得を求めます。


給与所得=給与収入-給与所得控除です。

給与所得は次の表のとおり求めます。

 

f:id:hide-n64:20211118211611p:plain

国税庁タックスアンサーより)

 

よって、


500万円-(500万円×0.2+44万円)=356万円

 

総所得金額は、


356万円-(75万+48万+38万)=195万円

 

所得税の税額は、総所得金額に基づいて次の表により求めます。

 

f:id:hide-n64:20211118211712p:plain

国税庁タックスアンサーより)

 

よって、

 

195万円×0.1-97,500円=97,500円

 

年収500万円の場合、住宅ローン控除の所得税分は所得税97,500円しか還付されません。

 

先ほどと同様に、所得税で控除しきれない場合は、翌年の住民税で控除することができますが、上限は、総所得金額の7%、または、136,500円です。

 

今回の場合、195万円×7%=136,500円なので、136,500円が上限となります。

 

控除しきれなかった金額は、


292,136-97,500=194,636円>136,500円


ですので、こちらが翌年の住民税から136,500円だけ控除され、差額の58,136円は控除することができません。

 

この例からわかることは、

 

住宅ローン控除の額に対して所得税額が少なすぎると、本来還付されるはずの金額が還付されない

 

ということです。

 

こうなると、小ばなしどころではありませんね。

こういったケースも考えられるので、住宅ローンを借りる時は、注意しましょう。

 

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同じようなケースはふるさと納税でもあります。

いずれお伝えできればとも思いますが、とりあえず今回はここまでにします。

 

では、また。