みなさんこんにちは、ひでえぬです。
CFPの「不動産運用設計」の分野では4種類の鑑定価格について解答させる問題があります。似たような名前が多いのでなかなか覚えにくいのですが、なんとか覚える方法を考えてみましょう。
1 正常価格
不動産鑑定評価基準(以下「評価基準」とします)によると、正常価格とは「市場性を有する不動産について、現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる条件を満たす市場で形成されるであろう市場価値を表示する適正な価格」のことです。ざっくりいってしまえば「市場価格」のことですね。まあこれは覚えるというか、普通に考えれば分かりますね。
問題はのこりの3つです。
2 限定価格
同じく評価基準によると「市場性を有する不動産について、不動産と取得する他の不動産との併合または不動産の一部を取得する際の分割等に基づき正常価格と同一の市場概念の下において形成されるであろう市場価値と乖離することにより、市場が相対的に限定される場合における取得部分の当該市場限定に基づく市場価値を適正に表示する価格」とあり、さらに例示として、次の3つが掲げられています。
(1)借地権者が底地の併合を目的とする売買に関連する場合
(2)隣接不動産の併合を目的とする売買に関連する場合
(3)経済合理性に反する不動産の分割を前提とする売買に関連する場合
(2)が一番分かりやすいと思います。
こんな状態で、甲土地所有のAさんが乙土地所有のBさんから土地を購入する(あるいはその逆)の場合ということになります。
つまり、
限定された売買(あるいは人)に適用される価格
ということになります。
3 特定価格
特定価格とは、「市場性を有する不動産について、法令等による社会的要請を背景とする鑑定評価目的の下で、正常価格の前提となる諸条件を満たさないことにより正常価格と同一の市場概念の下において形成されるであろう市場価値と乖離することとなる場合における不動産の経済価値を適正に表示する価格」と評価基準にあります。
例示として、
(1)(中略)証券化対象不動産に係る鑑定評価目的の下で、投資家に示すための投資採算基準を表す価格を求める場合
(2)民事再生法に基づく鑑定評価目的の下で、投資家に示すための投資採算価値を表す価格を求める場合
(3)会社更生法または民事再生法に基づく鑑定評価目的の下で、事業の継続を前提とした価格を求める場合
事例としては(2)と(3)が掲げられる場合は多いですが、これは一言で無理やりまとめると
特定の環境下で必要となる価格
と言い換えることができます。
最後に
4 特殊価格ですが、評価基準曰く
「文化財等の市場性を有しない不動産について、その利用現況等を前提とした不動産の経済価値を適正に表示する価格」とあります。
つまり、この4つの価格のうち、特殊価格だけが「市場性を有しない不動産」を対象にしています。
以上のことから、この4つをどうやって区別するか考えてみましょう。
まず、「正常価格」は大体わかりますね。区別すること自体は簡単なのでこちらは除き、のこり3つについて考えてみましょう。
3つのうち、「特殊価格」は「市場性を有しない不動産が対象」という大きな特徴があります。また、大体の場合、問題文に「文化財」という言葉が出てきます。
したがって、「市場性を有しない」「文化財」というキーワードが出てきたら「特殊価格」だなと考えることができます。
のこりの2つはわかりにくいですね。
上にも書きましたが、「限定価格」というのは買える人がかなり限定されます。画像をつけたいわゆる旗竿地の場合ですと、一体として利用することで価値がぐんと上がるからで、隣接地を持つ人と持たない人とではその土地の評価は大きく変わります。
一方、特定価格の場合は鑑定評価の場面がかなり限定されますが、一般的にちょっとイメージしにくい場面のような気がします。だからこれらの名称が覚えにくいのかもしれません。
覚え方をまとめると・・・
(まとめ)
・不動産鑑定評価基準に係る価格は全部で4つある。
・まずは正常価格と特殊価格がどれかを覚える。
(正常価格=市場価格、特殊価格は文化財等の評価で使用する市場性のない不動産を評価する価格)
・のこりの2つのうち、限定価格を覚える。
(旗竿地など、購入者が限定される価格)
・残ったものは特定価格である。(おそらく「民事再生法」などのワードが出てくるはず)