みなさんこんにちは、ひでえぬです。
前回の前受収益に引き続いて、今度は未払費用について考えてみようと思います。
ちなみに前回というのはこちら。
ただ今回は費用の話なので、こちらと比較したほうがわかりやすいかもしれませんね。
では問題です。
(例題)
ひでえぬ(株)は、2021年2月1日から倉庫を借りる契約を結ぶこととなった。期間は2022年1月31日までの1年間。賃料は1年間960,000円で、期間の末日である2022年1月31日に全額支払うこととなっている。
この場合について、
①契約時
②当期末(2021年3月31日)
③翌期首(2021年4月1日)
④支払時(2022年1月31日):自己振出の小切手により支払う場合
についてそれぞれ処理を行いなさい。
(解答)
①契約時
契約を結んだだけでは簿記上の取引(資産・負債・資本・収益・負債のいずれかに増減が発生)はないので、仕訳は行いません。
前受収益ですとこの段階で支払が発生するので仕訳を行う必要がありますが、未収(つまりもらっていない)のため、この段階では何もありません。
②当期末(2021年3月31日)
この時点ではまだ支払発生していないのですが、資産(倉庫)の使用は始まっているので、その使用期間に対応する家賃(今回は2/1~3/31の2か月分)について、処理を行う必要があります。
では、「その使用期間に対応する家賃」ですが、月割りで求めます。
960,000円×2か月÷12ヵ月=160,000円
仕訳はこのようになります。
借 方 | 貸 方
支払家賃(費用) 160,000円 未払家賃(負債) 160,000円
これを当期分の費用を見越して計上する「見越し計上」と呼んでいましたが、2019年の簿記3級試験の改訂により、「未払・未収」に変更されました。
ここでの仕訳の意味としては、「当期分の2か月分の家賃として160,000円の費用が発生しましたが支払はまだ先なので、未払家賃(費用の後払い→負債)として計上する」ということとなります。
③翌期首(2021年4月1日)
前期末(2021年3月31日)に行った仕訳の逆仕訳を行い、前期分の負債を費用のマイナスとして計上します。
借 方 | 貸 方
未払家賃(負債) 160,000円 支払家賃(費用) 160,000円
④支払時
ここは普通に
借 方 | 貸 方
支払家賃(費用) 960,000円 当座預金(資産) 960,000円
当座預金勘定を減らして、家賃を支払うということとなります。
ここで、期首の仕訳と支払時の仕訳を並べてみましょう。
借 方 | 貸 方
未払家賃(負債) 160,000円 支払家賃(費用) 160,000円
支払家賃(費用) 960,000円 当座預金(資産) 960,000円
ご覧のとおり、支払家賃として計上されているのは当期分の10か月分(800,000円)だということがわかります。
個人的にはここが間違えそうなところで、支払いは1年(12ヵ月)分だとしても、「仕訳上は当期の10か月分じゃないか」と考えて800,000円と書いてしまいそうなところですが、普通に1年分を仕訳することで、結果として当期分が適正に仕訳されていることがわかりますね。
図に書いてみると、こんな感じになります。
まとめ
未払費用の処理において注意すること
・契約時には仕訳不要である
・当期末において、当期に発生した費用を仕訳しておく。
・支払い時には全額仕訳をする。
・翌期首にはかならず再仕訳を(逆仕訳)行う
これらがポイントです。
次回はいよいよ?未受収益についてお伝えします。