みなさんこんにちは、ひでえぬです。
新型コロナウィルスの感染拡大が収まらない(どころか、過去最大の感染者数を記録している)昨今ですが、私の勤務している職場でも感染対策は十分留意しています。
その一環として、定期的に職場内の除菌や、手指消毒を行い、お客様に対してもご協力をお願いしています。
今回の取り上げるのは、その際に使用するアルコールについてです。
消毒用アルコールが切れたので購入し、請求書が回ってきたので支払おうと思ったところ、消費税率が8%となっていたため、
この金額で正しいのか?
という疑問が持ち上がりました。
さっそく調べてみましょう。
消費税の軽減税率については国税庁ホームページにいくつか説明が載っています。
「消毒用」アルコールということで、医薬品として使っている場合とすると、上のHPの分類ですと軽減税率の対象外となるような気がします、結論から言うと、今回買ったアルコールは
軽減税率の対象です。
なぜでしょうか?
軽減税率に関してはいろいろ問い合わせがあるらしく、Q&Aがたくさん用意されています。
上のページの「個別事例編」の問1を見てみましょう。
Ⅰ 「飲食料品の譲渡」の範囲等
(「飲食料品」の範囲)問1 軽減税率の対象品目である「飲食料品」について、具体的に教えてください。
【答】
軽減税率の対象品目である「飲食料品」とは、食品表示法に規定する食品(酒税法に規定する酒類を除きます。以下「食品」といいます。)をいいます(改正法附則 34①一)。
食品表示法に規定する「食品」とは、全ての飲食物をいい、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」に規定する「医薬品」、「医薬部外品」及び「再生医療等製品」を除き、食品衛生法に規定する「添加物」を含むものとされています。
なお、ここでいう「飲食物」とは、人の飲用又は食用に供されるものをいいます。
また、「飲食料品」には、食品と食品以外の資産があらかじめ一の資産を形成し、又は構成しているもの(その一の資産に係る価格のみが提示されているものに限ります。以下「一体資産」といいます。)のうち、一定の要件を満たすものも含みます(「一体資産」の詳細については、Ⅳ「一体資産」の適用税率の判定をご参照ください。)。
したがって、「飲食料品」とは、人の飲用又は食用に供される、
① 米穀や野菜、果実などの農産物、食肉や生乳、食用鳥卵などの畜産物、魚類や貝類、海藻類などの水産物
② めん類・パン類、菓子類、調味料、飲料等、その他製造又は加工された食品
③ 添加物(食品衛生法に規定するもの)
④ 一体資産のうち、一定の要件を満たすもの
をいい、
・ 医薬品、医薬部外品、再生医療等製品、酒税法に規定する酒類
を除きます。
※ 軽減税率が適用される取引か否かの判定は、事業者が課税資産の譲渡等を行う時、すなわち、飲食料品を提供する時点(取引を行う時点)で行うこととなります。
したがって、飲食料品の譲渡の判定に当たっては、販売する事業者が、人の飲用又は食用に供されるものとして譲渡した場合には、顧客がそれ以外の目的で購入し、又はそれ以外の目的で使用したとしても、当該取引は「飲食料品の譲渡」に該当し、軽減税率の適用対象となります(軽減通達2)(【制度概要編】問 11《適用税率の判定時期》参照)。
長いのでめんどくさいと思う人は太字のところだけ見てください。
要するに、軽減税率が適用される「飲食料品」とは、
(人の飲用又は食用に供されるもの)ー(医薬品)+(添加物)
となりますので、アルコールが医薬品であれば10%、添加物であれば8%となります。
今回購入したものは、こんな感じで食品添加物として販売されていました。
https://www.settsu-inc.com/products/detergent/sterilization_alcohol/75/detail/yubikole-75.html
ここで疑問が生じる方も多いと思います。
食品添加物として販売されていても、実際のところ手指消毒用として使っているよね?
いい質問です。
これについては、実は上にも答えはあるんですが、「制度概要編」の問11で答えています。
(適用税率の判定時期)
問 11 課税資産の譲渡等の適用税率の判定は、いつの時点で行うのでしょうか。
【答】
軽減税率が適用される取引か否かの判定は、事業者が課税資産の譲渡等を行う時、すなわち、飲食料品を提供する時点(取引を行う時点)で行うこととなります。
したがって、適用税率の判定に当たっては、
① 販売する事業者が、人の飲用又は食用に供されるものとして譲渡した場合には、顧客がそれ以外の目的で購入し、又はそれ以外の目的で使用したとしても、当該取引は「飲食料品の譲渡」に該当し、軽減税率の適用対象となります(軽減通達2)。
② 販売する事業者が、人の飲用又は食用以外に供されるものとして譲渡した場合には、顧客がそれを飲用又は食用に供する目的で購入し、又は実際に飲用又は食用に供したとしても、当該取引は「飲食料品の譲渡」に該当せず、軽減税率の適用対象となりません。
つまり、売った人が、「これは食品添加物ですから食用です」と言って売り、それを買った場合は、買った人がどのように使用しようとも、食品として課税される(要するに8%)ということです。
今回の場合は消毒に使うつもりで買いましたが、これが食用として売っていたものなので、消毒に使おうが、食用として使おうが、燃料にしようが税率は変わらないということになります。
なお、これはあくまでも「添加物」として販売されているアルコールについての取り扱いです。
下の写真は5年くらい前に購入したものですが、このように「医薬品」として販売されていれば、軽減税率の対象外となりますのでご注意ください。
余談ですが、軽減税率に対しては批判もあり、廃止を主張する声もあります。理由は
- これだけ複雑にもかかわらず軽減幅が小さく、費用対効果を考慮すると非効率である
- 低所得者層対策としては適当ではない、あるいは他に適当な方法がある
などです。
私も個人的には軽減税率は不要だと思います。10%が0になるならまだ検討の余地はありますが。
今回の内容はよくよく考えると「ファイナンス」とはあんまり関係ない気もしますが、家計への影響はないわけでもありませんし、まあ税金について考える機会としてとらえていただければと思います。
では、また。