みなさんこんにちは、ひでえぬです。
(この記事は2023.3.26に加筆修正しました。)
前回は期待収益率についてお伝えしました。
今回は前回の例題をもとに、分散と標準偏差について考えてみましょう。
Q 以下の資産A及び資産Bを4対6で購入した場合の期待収益率、分散及び標準偏差を求めよ。なお数値は小数第3位を四捨五入して小数第2位まで求めよ。
資産A 資産B
発生確率 収益率 収益率
好況時 30% 15% 10%
通常時 45% 8% 6%
不況時 25% △10% △8%
発生確率 収益率 収益率
好況時 30% 15% 10%
通常時 45% 8% 6%
不況時 25% △10% △8%
(前回のおさらい)
期待収益率は、各シナリオ時(ここでは、好況時、通常時、不況時)の期待収益率をそれぞれ求め、それを資産Aと資産Bの購入比(4:6)で按分する方法をやってみましょう。
好況時:15%×0.4+10%×0.6=12% ・・・ ア
通常時:8%×0.4+6%×0.6=6.8% ・・・ イ
不況時:△10%×0.4+△8%×0.6=△8.8% ・・・ ウ
通常時:8%×0.4+6%×0.6=6.8% ・・・ イ
不況時:△10%×0.4+△8%×0.6=△8.8% ・・・ ウ
よって期待収益率は、
12%×0.3+6.8%×0.45+△8.8%×0.25=4.46%
この「ア~ウの数字がこの後必要になります。」と前回書きましたが、どういうことかというと、
分散=
×起こる確率 をそれぞれ合計したものです。
期待収益率というのは獲得する収益の平均値なので、要は平均とどれくらい離れているかを数値化したものです。
2乗するのは数値がマイナスになったときに、2乗することでプラスになるため、純粋に「平均との距離」が合計できることが理由の1つです。だったら絶対値でいいじゃんと思って調べたのですが、イマイチよくわからなかったので、興味のある方は調べてみてください。
この例題での分散は各シナリオ(好況時、通常時、不況時)の合計になります。
よって
ここまでくればもう簡単です。
標準偏差=
=
=15.4322649018・・・
→15.43%
となります。
この「標準偏差」ってなんなの?といいますと、一言でいうと「リスク」を表す指標の1つです。(一方で期待収益率は「リターン」を表します)
理論上、収益率は約68%(ざっくりいうと3分の2)の確率で
期待収益率±標準偏差
の範囲内で収まるとのことです。
つまり、今回の例だと、
好況時:12%±15.43% →△3.43~27.43%
通常時:6.8%±15.43% →△8.63~22.23%
不況時:△8.8%±15.43% →△24.23~6.63%
となります。
あくまでも理論上の話なので、この範囲に収まらない場合ももちろんありますが、このような形で予想がたてられるということですね。
ちなみに、正規分布曲線を描いて表すと、このようなイメージになります。
(CFP(R)資格審査試験なんかだと、こういう問題も出てきます。)
簡単に言うと標準偏差の倍の振れ幅があるということなので、今回の例の場合約30%も差が出ています。好況時でもマイナスになることもあるし、不況時にもプラスになることもあり得るということがわかります。
今回はここまで。
次回をお楽しみに。